
OpenAI、推論チップ「Jalapeño」でNvidia Blackwellを上回る性能を実現
OpenAIが開発した推論専用チップ「Jalapeño」は、複数のベンチマークでNvidia Blackwellなどの競合チップを上回る性能を発揮することが明かされた。8月のHot Chipsで発表されたこのチップは、Broadcomとの提携により開発され、2027年にかけて段階的に量産予定となっている。
チップ開発の経緯
OpenAIはJalapeñoを、LLM推論に特化した独自チップとしてゼロから開発した。Broadcomとの提携で実現されたこのプロジェクトは、2024年中盤に設計業務を開始し、初期チームの採用から製造タップアウトまでおよそ16カ月を要した。2025年11月のタップアウト以降、わずか3カ月のシリコン上での動作確認で既に良好な結果を達成している。
性能とメモリ仕様
Jalapeñoは複数の優れた性能指標を示している。HBM4メモリを採用し、ピン速度10Gbpsを達成した(Nvidia Rubin比9.6Gbps)。メモリ帯域幅は15.4TB/sであり、MXFP数値フォーマットと均一なアーキテクチャにより、プリフィル・デコードの分離を行わない設計となっている。

B0ステップでのピーク性能は13.4PFLOPs (MXFP4) を記録した一方、Vera Rubinは17.5PFLOPs (dense NVFP4) となっている。TDP(熱設計消費電力)はJalapeñoが700ワット、Vera Rubin が900~1150ワットであり、消費電力効率が大きく優れている。A0ステップからB0ステップへの改善により、性能当たり消費電力が25%向上した。
推論性能とベンチマーク
SemiAnalysisが実施したベンチマーク結果では、Jalapeñoは複数のモデルで優れた性能を発揮している。DeepSeek R1では並行度1のとき毎秒700トークン、GPT-OSSでは毎秒1400トークンを達成した。性能当たり消費電力は700トークン/ワット相当であり、業界の競合チップを上回る効率を示している。
オフパッケージI/Oは32レーンの800G SerDesを搭載し、ラック内のローカルスケールアップには24レーン(600GB/s)、2048ユニットのマルチラック構成での広域スケールアップには8レーン(200GB/s)を割り当てている。

AI活用設計と検証技術
OpenAIはチップ設計にAI支援を導入し、SIMD領域で8%、マトリックスエンジン領域で10%の面積削減を実現した。chilisimと呼ばれるシミュレータは、実測ハードウェアに対して5%の精度マージン内で動作予測を実現している。カーネルプログラミング言語として「Gluon」(Tritonをベース)を採用し、内部サービングエンジンは「Teacup」という名称で稼働している。
3000行に及ぶ手動チューニングカーネルなども存在し、推測デコーディングにより3~5倍のトークン当たりコスト削減が見込まれている。OpenAIはJalapeño上でDoomを36FPSで実行し、FP32流体力学シミュレーションも実装した。
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筆者の見立て
- ゼロからの設計開始により、逆互換性を気にすることなく洗練されたアーキテクチャ上の判断が可能になった〜と解釈している
- Jalapeñoのソフトウェア立ち上げがNvidiaより迅速に進行しているのは、優れたハードウェア・ソフトウェア協調設計による〜と解釈している
- 新型チップの迅速な立ち上げ能力を踏まえると、CUDAの優位性は潜在的に失われる可能性がある〜と予想している
- Jalapeñoが成功した場合、プログラミングモデルと万能なコンパイラへの業界の執着は無効化される可能性を示唆している
- CUDAの優位性に対する現実的な脅威をもたらす可能性がある〜と予想している
- 長期文脈・マルチターン負荷といったエージェンティック・ワークロードで卓越するには、より多くの最適化が必要とみられる〜と解釈している
出典
SemiAnalysis「OpenAI Jalapeño: Better Than Nvidia Blackwell」https://newsletter.semianalysis.com/p/openai-jalapeno-better-than-nvidia (CoreWeave、Hot Chips 2026、Computex 2026 の報道による)