
リーダー・フォロワー型から「リーダー・リーダー型」への転換
リーダーシップの在り方を、従来の指示型から意図の提示型へ変える経営哲学が注目されている。技術的専門知識だけでは管理職として十分ではなく、チームをエンパワーし自律性を引き出す能力が重要だとする実践的アプローチが紹介されている。
Google のプロジェクト「Project Oxygen」によると、効果的なマネージャーの資質の中で「技術的専門知識」は最下位にランクされた。一方、チームを良好にコーチングし、マイクロマネジメントなしにチームをエンパワーすることが上位に挙げられている。効果的なマネージャーの主要な行動は 8 つ特定されている。
マーケット提督による意図型リーダーシップ
Navy Captain David Marquet が USS Santa Fe の艦長を務めた時期、当該潜水艦は艦隊で最も成績の悪い艦だった。Marquet は抜本的な転換を決断し、乗組員に指示を与える代わりに 「I intend to...」(〜するつもりです)と述べるよう訓練した。
Marquet は 「if you want your people to think, don't give instructions—give intent」と述べている。彼の指揮下では、従来型潜水艦の 1 名の責任者と 134 名の指示従事者に対し、Santa Fe では 「135 thinking, active, passionate, creative, proactive, taking initiative people」となったとされる。さらに Marquet は、「you create the environment so that those people are out there making decisions as if the CEO were standing right behind them. And if it's not the same decision, it's actually a better decision because they have the information」と述べており、現場の情報を活かした意思決定の優位性を指摘している。
Marquet は著書 『Turn The Ship Around』の中で、このアプローチについて詳述している。彼は 「It takes strength and confidence to give up control and say, 'I will be here if you need me, but it's your play.'」とも述べており、権限の委譲には強さと自信が必要だと論じている。
エンジニアリング組織での実践例
エンジニア・チームでの意図型リーダーシップの導入では、具体的な成果が報告されている。例えば UI/UX の変更では、当初の見積もりは 2 weeks だったが、「簡潔さの意図」に基づく取り組みにより、実装時間は 2 days に短縮された。
認証サービスのトークン検証では、リファクタリング前の処理時間 120ms を 50ms まで削減する目標が設定された。チームは Service Level Objective(SLO)99.9% を掲げながら、1 hour 以内でのホットフィックス展開能力を構築した。このプロセスでは自動テストと自動デプロイメント、フィーチャー・フラグ、ベータ・チャネルが活用され、金曜日の本番環境への push も実現した。
従来型のマイクロマネジメント(「All pull requests need to be approved by me」「Let me review that code before you proceed」「Before you push to production, run that deployment plan by me first」)に対し、意図型アプローチでは、エンジニアが自身の判断で行動し、必要に応じてコーチとしてのサポートを受けるモデルに転換している。
自律性と能力の関係性
従来の考え方では、能力があってから自律性を付与するとされてきた。しかし、意図型リーダーシップでは、自律性の中で能力が形成されるとの考え方を示す。「I don't know, let's find out」という姿勢で、チームと共に学習を進める文化が重視される。
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筆者の見立て
- チームをリードする立場のエンジニアは、昇進によって効率性が低下した可能性があると論じている
- 専門知識が昇進をもたらしたが、今はマネジメントにおける最大の課題になる可能性を示唆している
- 専門知識に基づくマイクロマネジメントは、意思決定の瓶首化、エンジニアの離脱、脆弱な組織を生み出すと解釈している
- 技術的専門知識は必要条件だが、他者の育成・エンパワーメント能力こそが真の差別化要因だと解釈している
- このアプローチは、エンジニアリング組織で機能し得るフレームワークの一つになる可能性を予想している
- 自律性の中で能力が生まれるという見方を示唆している
- 結果に執着するのではなく、継続的に学習・改善するチームを構築することが最速の成果向上につながると解釈している
- マネージャー個人の最大の成就は、書いたコードや設計した構成ではなく、育成したリーダーたちになるだろうと論じている
出典
Practical Engineering Management
「Shift from a Leader-Follower to a Leader-Leader Approach」
https://www.practicalengineering.management/p/shift-from-a-leader-follower-to-a